| 犯罪類型 | 財産犯 – 強盗 – 昏睡強盗 |
| 罪 名 | 昏睡強盗 |
| 受任段階 |
被疑者 |
依頼者は,犯行時にちょうど犯行現場に居合わせたため,共犯の疑いで逮捕されました。依頼者は,無実を訴えていました。
証拠構造を予想し,裁判所に対して勾留をしないよう意見書を提出しました。しかし,力及ばず勾留されてしまいました。そこで,勾留理由開示により証拠構造をある程度見極めてから勾留決定に対する準抗告を申し立てました。
勾留理由開示では,裁判官は,依頼者が共犯として疑われた事実ないし証拠が明らかにされました。それにより,身柄拘束の理由となった事実ないし証拠に焦点を当てた詳細な意見書を作成することができ,否認事件でありながら準抗告が認容されました。その後,依頼者は不起訴となりました。
捜査段階では,弁護側は証拠が分からず充分な反論を行うだけの情報がありません。
しかしながら,裁判官は,通例,勾留理由開示の手続では何も答えてくれません。法制度としては,被疑者には自らが身柄拘束をされた理由を開示してもらうことができる権利があるのに,裁判所の実務運用により,被疑者は充分な理由を教えてもらうことができぬまま身柄拘束が継続されるのです。
そのような実務運用の中で,稀に法の趣旨にのっとった運用をしてくれる裁判官もいます*。わが国では,否認しているかぎり釈放は困難ですから,犯罪に関与していないと否認する依頼者を早期に解放できたのはこのような気骨ある裁判官に出会えたからこそです。
* ある高齢の裁判官が,”私はこれまでの裁判官人生で勾留理由開示は3回しか経験したことがありません。だからこそ,このように刑事弁護人が勾留理由開示を申し立てたからには,勾留を出した裁判官としてはその理由をきちんと説明したい,弁護人とのコミュニケーションを取りたいと考えています。” と宣言し,捜査情報を脅かさない範囲で詳細な説明を受けたことがあります。おそらく,日頃は,民事を担当なさる裁判官ではないかと思うのですが,私としては激励を受けたような気持ちで,諦めずに勾留理由開示をやってよかったと一層力が湧いてきたのを覚えています。
当職は100件を超える刑事事件の経験を有していますが,否認事件でありながら5日以内に身柄解放できたのは3件もないと思います。難易度は高いものの,めぐりあわせがよいと望みうる結果なのでしょう。当事務所も一層技術を磨いていかなければならないと気が引き締まります。