依頼者は若い頃にカード(A社)の滞納を起こしていたものの,住む場所を転々としていたためか督促状も届いておらず,放置していました。現在は生活も安定して,すっかり忘れていたところ,いきなりA社から取立てを委託されたB社の社員を名乗る男性が自宅に取立てに来ました。
いきなりの訪問に依頼者は相当不安になっている様子でした。相談の結果,債権は時効にかかっている可能性が高いと判断されましたから,当事務所では当日中に内容証明を送付しました。
B社は「自宅を訪問したときに録音を取っている。返済を約束していた。」と時効が成立しないと争ってきました。しかし,こういった約束は法的には意味がないことが少なくありません。そこで,裁判例や録音をふまえて粘り強く交渉しました。
最終的には,債権回収業者(B社)が時効の完成を認めて回収を諦めました。
債務の”承認”には,❶時効の完成を止める,または❷完成した時効を主張できないようにする効果があります。そこで,債権回収業者の中には,いきなり自宅を訪問し,会話の中で債務を承認するよう迫ってくる業者がいます。こういった場合,「本人が認めた録音がある。」と時効を争ってくることも少なくありません。このような業者との交渉は,弁護士に相談することをお勧めします。